1,ゴルフクラブの会員権とは、ゴルフ場を一般の利用者に比して有利な条件で継続的に利用できる者(会員)の地位(権利)、いわゆる”事実上の権利”であり、法的に規定された権利(例えば借地権等)ではないと解釈されます。
2, ゴルフ会員権、3つの形態
a 株主でなければ会員となれない会員権(株主会員制)
b 株主であり、別途、入会金を支払わなければ会員となれない会員権
c 入会金等を支払わなければ会員となれない会員権(預託金制)
3,ゴルフ会員権譲渡の際の所得区分
上記のどの形態のゴルフ会員権であっても、ゴルフ会員権売買を”業務”として譲渡する場合を除いて、総合課税の譲渡所得として課税の対象にされます。
その対象のほとんどの場合は「預託金制」のゴルフ会員権のようです。
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ゴルフ会員権と税金(ゴルフ場の破綻と譲渡損失)
■プレー権消滅の場合
1) 現在主流となっている「預託金制」のゴルフ会員権は「預託金返還請求権」と「プレー権」から成っており、プレー権を伴う契約上の権利として譲渡所得の起因となる資産とされています。
2)ゴルフ場の経営破綻に伴って、ゴルフ会員権のプレー権が消滅した場合には「預託金返還請求権」のみが残ることになり、それは単なる金銭債権でしかなく、預託金の一部しか返還されなかった場合の損失は、金銭債権の貸倒損失(=家事上の損失)となり、その損失は他の所得との損益通算はできない。
3)経営破綻したゴルフ場が「競売」にかけられ、ゴルフ場が差し押さえられた場合、プレー不可能となり、「預託金返還請求権」だけの家事上の損失に該当してしまう。
■プレー権継続の場合
破綻したゴルフ場が「競売」されず、他企業に経営引き継された場合の所得税法上の取扱いは
1)ゴルフ場承継会社は旧ゴルフクラブ会員に対して旧会員権を引き取り、新たな会員権の付与を行い、この際「プレー権」が継続しておれば旧会員権の引き取りは、「新会員権の時価」を譲渡収入とする譲渡となります。
譲渡収入が旧会員権の取得価額を下回り譲渡損失が生じ、他の所得との損益通算が可能。
2)ゴルフ場承継会社が、旧ゴルフ場の預託金をそのまま引き継ぎ、プレー権も保証したような場合は、ゴルフ会員権を譲渡したことにならない、あるいは新ゴルフ会員権の時価が旧会員権の取得価額となり、譲渡損失は計上されないことになる。
■会社更生等の場合
1)会社更生等により預託金債権の一部が切り捨てられた場合の損失は金銭債権に係る家事上の損失となる
2)会社更生等による更生後のゴルフ場で従来通りプレー権を行使できる場合、その会員権の譲渡損失は他の所得と損益通算できます。
また、会社更生等の過程で預託金の一部が切り捨てられた場合でも、その切り捨て前の当初の預託金額が取得費となります。